ビジネス

軽自動車ウォーズ激化 価格・維持費だけじゃない購入動機

三菱自動車の「ekクロス」

三菱自動車の「ekクロス」

 日本の乗用車販売の約35%を占める軽自動車。ホットなカテゴリーだけにメーカー間の競争も一層激しさを増している。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、走行性能や機能でも驚きの進化を遂げる最近軽自動車の魅力をたっぷり紹介する。

 * * *
 今年3月28日、軽自動車界にニューカマーが登場した。日産自動車の「デイズ」および三菱自動車の「eKワゴン」「eKクロス」である。軽サイズながら背が高く、居住空間にゆとりがあるのが特徴。1990年代にスズキ「ワゴンR」が開拓したジャンルで、俗に“軽トールワゴン”などと呼ばれるカテゴリーのモデルだ。

 ブランドは日産と三菱自に分かれているが、デザインや一部安全装備に違いがあるだけで中身は同一という兄弟モデルである。この関係は2013年に登場した旧型からのものだが、旧型が三菱自の開発であったのに対して、新型は日産が開発を行ったという点が異なる。普通車を手がけてきた日産にとって、軽自動車の開発は初体験だ。

 その新型デイズをテストドライブする機会があった。運転したのはスタイリッシュさを売りにする「ハイウェイスター」のターボエンジン車だったが、印象に残ったのは車内が大変静かなことと、当たりの柔らかい乗り心地。顧客争奪戦の激化に伴っての進化だった。

 また、ハンドルに自動制御を入れて車線からのはみ出し防止をアシストしたり、前を走るクルマの速度に合わせてオートクルーズする機構を盛り込んだ先進安全システム「プロパイロット」が装備されていたが、その作動も大変良好だった。

 今回のデイズ、三菱eKワゴン、eKクロスの開発において、走りや乗り心地、先進安全システムなどのチューニングを手がけたのは日産の実験担当エンジニア、永井暁氏。『GT-R』や『フェアレディZ』など、日産車のなかでも走りが世界で高く評価されているスポーツモデルの味を作り上げてきた人物だ。永井氏は言う。

「日産にとっては初めての軽自動車開発ということで、ゼロから勉強を始めました。これまでほとんど乗ったこともなかったので、まずはライバルメーカーのクルマをいろいろ走らせてみたのですが、総じて出来が良いことに驚かされました。

 なまじっかな作りではそれらのライバルに勝てないということで、われわれは初心者でも安心してドライブができる操縦安定性、そして“軽にしては”というエクスキューズを排した乗り心地の良さ、静かさ、使いやすさを徹底追及しようと考えたのです」

 デイズは旧型も結構人気が高く、販売台数は常にランキング上位にいたモデルだ。開発にエース級の人材を投入し、商品力をアップしての新型登場が、軽自動車市場をいっそうホットにするのは間違いなさそうだ。

日産自動車の「デイズ」

日産自動車の「デイズ」

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン