つまり、玄米と3分づき米、白米のような違いと思えばいいだろう。上白糖やグラニュー糖などのいわゆる「白砂糖」が白いのは、茶色い砂糖を漂白しているからではないかという“噂”もあったが、純度の高いショ糖の結晶は無色透明で、光を乱反射するため白く見えるだけだ。
では、白くない砂糖はなぜ白くないかというと、純度が低く、不純物が多いため。しかし、不純物といっても、ミネラルやビタミンなど材料になった植物がもともと持っている栄養素だ。
黒糖やきび糖、てんさい糖といった、なじみのある茶色い砂糖がそれにあたる。黒糖はさとうきびの搾り汁を煮詰めて固めただけなので、中でも栄養成分が多く、カルシウムやマグネシウム、ナトリウムなどの豊富なミネラルや、ビタミンも含まれている。
黒糖より精製度が高いきび糖は栄養価が落ちるが、その分、味がマイルドで、ふだんの調理で使いやすいというメリットがある。
てん菜から作られるてんさい糖は、黒糖やきび糖に比べてミネラル成分が少ないものの、オリゴ糖を含んでいる。
「オリゴ糖は腸内菌に働きかけ、腸内環境を整えます。また、てんさい糖には、GI値が低いという特徴もあります」(早川さん)
GI値とは、食品ごとの血糖値の上昇度合いを表現する数値で、大きければ大きいほど、食後の血糖値が上がりやすく、糖尿病やメタボリックシンドロームの原因となる。
「ブドウ糖を50g摂取した時の血糖値の上がり方を100とした時、黒糖は99、てんさい糖は65と非常にゆるやかです」(早川さん)
フランス料理では、てんさい糖を用いることが主流であり、まろやかな甘さを好んで使っている人も多いのではないだろうか。家庭での料理に使うなら、雑味が少なくGI値の低いてんさい糖を使い、ミネラルなどの栄養素はしっかり食材で摂取するのが理想的だろう。
甘いものが欲しくなった時には、飴よりも、黒糖のかけらを食べるのがおすすめだ。
一方、おなじみの白砂糖も、白ザラ糖、上白糖、グラニュー糖などに分類されている。いずれも、精製度が高く、甘みが洗練されているので、あらゆるお菓子や料理、調味料に使いやすいという特徴を持つ。国内の砂糖の売り上げの3割を占めるという上白糖は、私たちにとって最もポピュラーな砂糖だが、実は日本特有の砂糖であり、海外ではグラニュー糖が一般的だという。
「白砂糖をここまで細分化して販売しているのは和菓子や料理に合わせて使い分け、味に深みを出そうという日本独自の文化的な側面があります」(早川さん)
ただし、どの白砂糖も精製度が高く、ショ糖以外の栄養成分をほとんど含まない。各砂糖のショ糖の含まれる割合は、黒砂糖が約80%、てんさい糖が約86%であるのに対して、白ザラ糖とグラニュー糖は99.95%、上白糖は97.8%と高い。