その名がスイーツに変わる前から、3時のおやつや食後のデザートは、ほっと一息つくのに欠かせない毎日のお供だった。家事の合間にチョコレートやクッキーをつまむのが習慣になっている人も少なくないだろう。しかし近年、「砂糖は体に悪い」とする意識が世界で高まっている。宇部内科小児科医院院長で総合内科専門医の團茂樹さんが指摘する。
「砂糖による健康への悪影響のいちばんは肥満です。それから、糖尿病の大きな原因も砂糖です。25年ほど前の中国には糖尿病患者がほぼいませんでしたが、近年増え続けているのは、食生活が変化して、純粋な砂糖を使った甘いものを食べるようになったからだといわれています。
砂糖の過剰摂取は中性脂肪や血糖も増やしますから、糖尿病以外の生活習慣病の原因にもなります」
一方で、砂糖は人間にとって欠かせないものでもある。砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)はブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)が結合した二糖類。そのうち、ブドウ糖は、人間の脳にとって唯一のエネルギー源であり、ブドウ糖が足りないと、思考力や集中力が低下するという。
それに、砂糖の甘さはストレスを和らげ、幸福感を与えてくれる。嫌なことがあった時、ついついプリンやシュークリーム、大福に手が伸びてしまうのもこのせいだろう。 私たちを元気にも不健康にもする、相反する2つの顔を持つ砂糖。甘い気分にひたるなら、より健康的で安心できる砂糖を選びたい。
◆「白砂糖」は、甘み成分以外の栄養は含まれない
日本では年間およそ210万tの砂糖が消費されており、1人あたり16.6kgを消費しているという。そのうちの約4割は国産のてん菜やさとうきびから作られており、残り約6割は、海外からの輸入だ。国内で作っている砂糖は、てん菜が8割、さとうきびが2割程度となっている。
製造工程はシンプルだ。てん菜やさとうきびを煮詰めたり温水に漬け込んで、甘みのもととなるショ糖成分を搾り出す。そこから不純物を減らすため、遠心分離機にかけたり、さらに煮詰めることで精製していく。名古屋経済大学准教授の早川麻理子さんが説明する。
「その精製度合いによって、きび糖、三温糖、上白糖、グラニュー糖などと名称が変わります。精製すればするほど、さとうきびやてん菜に含まれていたミネラルやビタミンなどの栄養素が減じて、スクロースと呼ばれるショ糖の純度が高まり、雑味がなくなり純粋な甘さが増します」