解散に慎重なのは二階氏も同じだ。ダブル選挙で議席を減らせば幹事長は真っ先に引責辞任を迫られる。それでも安倍首相が解散を決断すれば誰も止めることはできない。二階氏はその先を考えている。政治ジャーナリスト・角谷浩一氏が語る。
「ダブル選挙で自民単独で衆院の3分の2の議席を得れば間違いなく安倍続投でしょうが、議席を減らすか現状維持なら、勝っても安倍首相の4選論は消える。党内では、来年の東京五輪を花道に安倍退陣が既定路線となり、ポスト安倍のレースがいよいよ始まる」
その時、ポスト安倍選びの主役になるのが二階氏ら長老の派閥領袖だ。
「二階さんは『安倍4選』とも『菅官房長官はポスト安倍の有力候補』とも公言している。安倍首相の解散は止めないが、ダブル選挙で墓穴を掘れば4選は消える。その時は“キングメーカー”として菅さんの擁立に動く腹づもりでしょう。菅さんも解散になればそうした状況もあり得ると読んでいるのではないか」(同前)
衆院283議席の現状維持なら揺るぎない自民圧勝に違いないが、それでも安倍首相の威信は低下し、二階氏ら長老がキングメーカーとなって菅氏への政権禅譲レールが敷かれるという見方である。
ポスト安倍には石破茂・元幹事長や岸田文雄・政調会長の名前も挙がっているが、2人のどちらかが総理になれば自民党内で主流派が交代して権力構造の組み替えが起きる。