カネカの「育休明け転勤」騒動や、パンプス着用強制に反対する女性の「#KuToo」運動が広がりを見せるなど、これまでは職場内で当然のように行われていた“不文律”がハラスメント被害に発展するケースが相次いでいる。働く主婦の調査機関「しゅふJOB総合研究所」所長兼「ヒトラボ」編集長の川上敬太郎氏が、誰もがハラスメントの加害者になり得る“無意識”の怖さについてレポートする。
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ハラスメント(嫌がらせ)の加害者といえば、どんな人をイメージするだろうか。2017年に連合が発表した『ハラスメントと暴力に関する実態調査』によると、パワハラやセクハラなど、職場でのあらゆるハラスメントの加害者の第1位は「上司や先輩」だった。
新聞記者へのセクハラ、パワハラ発言で問題になった事務次官や、恫喝疑惑などで話題になり除名処分となったスポーツ団体会長などの記憶も新しい。
しかし、当の加害者たちの反応を見ると、自らが加害者だと認識していないように感じることがある。単にとぼけているだけなのだろうか。
しゅふJOB総研で、仕事と家庭の両立を望む“働く主婦層”に「現在も含め、これまでの職場でセクハラやパワハラなどのハラスメント(嫌がらせ)を受けた経験はありますか(有効回答数=971 ※回答者は全員女性)」と質問したところ、「パワハラを受けたことがある」が49.4%と約半数、「セクハラを受けたことがある」人は30.4%だった。
一方、「ハラスメントを受けたことはない」と回答した人は27.2%。裏を返せば、なんらかのハラスメントを受けた可能性がある人は7割を超えることになる。
続けて、同じ回答者たちに「現在も含め、これまでの職場でセクハラやパワハラなどのハラスメントの加害者になってしまった経験はありますか」と質問してみると、「ハラスメントをしたことはない」と回答した人が83.9%に及んだ。
パワハラ、セクハラ、他のハラスメントを「してしまったことがある」と回答した人の比率は、すべて足しても2%。はっきりと自らが何らかのハラスメントの加害者だと認識している人は、ほとんどいない。
しかし、フリーコメントには「したつもりはないが思われているかもしれない」「自覚はないが、可能性はある」「自分ではないと思うが、解釈する人による」などの声があった。無意識に自らが加害者になってしまっている可能性を示唆する声だ。