「賞味期限は、多少切れていても大丈夫」という事実を踏まえ、世界で問題となっている「食品ロス」を削減するため、賞味期限が延長されている。しかし、本当に注意すべきは期限の長さではない。
米やビールを買う時は、賞味期限より「精米日」「製造年月日」に注目したい。しかし、精米日や製造年月日が新しいものを奥に、古いものを手前に置く店が多い。食品安全教育研究所代表の河岸宏和さんはこう言う。
「精米日から2週間以上経った米はぬか臭くなります。米もビールも2週間以内のものを選びたいところですが、大量に積まれている米やビールの中から、女性の力で奥から取り出すのは大変です。一方で、大手スーパーの宅配サービスでは、消費者目線でしっかり新しいものを選んでくれていると感じます。重いものこそ、宅配を利用するのも賢い手です」
2007年8月、北海道のお土産として有名な『白い恋人』が、返品商品を新しい箱に入れ替え、賞味期限を改ざんしていたことが発覚し、大問題になった。その後、『白い恋人』を製造する石屋製菓は、賞味期限をシールではなく個別包装紙への印刷に切り替える対策を取ったが、シールでの賞味期限表示を続けているメーカーはいまだに数多い。
「土産店の大福などは、工場で製造後すぐに冷凍庫で数か月保存し、販売する店で解凍した時点で賞味期限のシールを貼っていることがある。それをはがして、また貼ってもまったくわかりません。スーパーで売っている干物も同じことがいえます」(河岸さん)
賞味期限のシールが貼ってある商品は、圧倒的に風味が落ちている可能性があると覚悟して買おう。牛乳や豆乳などのパック詰め製品は、加熱処理によって殺菌されている。
「豆乳は、菌が完全に死ぬまで殺菌しているので、未開封なら1か月以上持ちます。牛乳が豆乳より賞味期限が短いのは、風味が変わってしまうので完全に菌を殺していないためです。
しかし、LL(ロングライフ)牛乳といって、通常の牛乳よりしっかり殺菌し、パックにもアルミ箔を使って長期保存できるようにしたものもある。殺菌の温度と時間、パックの仕様を変えれば、牛乳はいくらでも長期保存が可能です。ただし、封を開けたら空気中の雑菌が入るため、すぐに飲んでください」(河岸さん)