新馬戦が始まって1か月。新種牡馬産駒もまずまずの成績をあげている。エピファネイアやフェノーメノという話題の新種牡馬は、“一口馬主”の馬だった。競馬歴40年のライター・東田和美氏が、一口馬主をきっかけに競馬の奥深さを知り馬券検討に役立つようになるまでについて解説する。
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ダービースタリオン(ダビスタ)という競馬ゲームが大ヒットしたのは平成初期、1990年代のことだ。
それまでの「競馬ゲーム」といえば、コインなどで“馬券”を買って、画像やフィギュアの馬のレースを見守る模擬ギャンブルが主だったが、ダビスタは生産者、馬主、調教師の立場から競馬に向かいあうという意味で画期的だった。つまり馬券を買うだけではない、使う側に立った競馬の楽しみ方を普及させたのだ。競馬ファンの拡大に貢献、なかにはダビスタ好きが高じてこの世界に飛び込んだという騎手さえいる。
参加者が実在の競走馬の仮想馬主になるペーパーオーナーゲーム(POG)が流行り始めたのも1990年代。いまでは、春先になると有力2歳馬を掲載した「POG本」が数多く出版されるようになった。参加することによって、馬を使う側に立って競馬を見るようになったはずだ。
平成になって、こうした新しい競馬の楽しみ方が浸透してきたが、これらはいずれも「ゲーム」。やはり牧場で見初めて実際に出資し、その成長を間接的にでも見守り、競馬場で愛馬が走る姿に触れなければ、喜びも痛みもない。
一口馬主になる会員は、馬主の真似事をしたいのではない。競馬という動物を身近に感じ取り、競馬という競技の奥深さを味わい、ひいては馬券検討に役立てて「儲ける」ためだ(なかには愛馬の馬券は買わない、という会員もいるが……)。