これまで3%から5%、5%から8%になった直後には、新築マンションはもとより不動産全般の取引が一気に停滞した。その理由は、消費者にとっては2%であろうと物価が上昇するわけであるから、財布の紐が締めざるを得ない。消費税が上がっても消費者の所得は同じなのだから、節約するしか手はないからだ。
日本経済の約7割は個人消費が支えている。その個人消費が縮むわけだから景気は当然悪化する。日本経済は確実にリセッション(景気後退)となる。景気が悪い中、大きな買い物は見送りとなる。企業は設備投資を増やさない。マンションは売れず、不動産取引も停滞する。
これはマンション業界の面々も分かっている。過去2回の消費増税を経験しているからだ。しかし、彼らはまずその前の「駆け込み需要」に期待する。
現在、建物がすでに完成している新築マンションは、9月末までに契約・引渡しを終えれば消費税は8%のままだ。消費者側もそれを知っているから「今のうちに」という心理が働く。それを利用して、溜まっている在庫を一気にさばいてしまおうと考えるわけだ。
それで一時的にしろ売り上げを立てられれば、その後にやってくる増税後の「買い控え」も何とかしのげるかもしれない。
さらに2020年になれば五輪開催のお祭り気分になって、不景気風も少しは和らぐのではないか……不動産業者いうのは基本がポジティブ思考だから、多分そんな風に考える人が多いはず。少なくとも「駆け込み需要」を逃す手はない。