一方、マンションを購入しようと考えている消費者側にも、そこは大きなチャンスである。「駆け込み需要」が終わると、途端にマンションが売れなくなるということを知っている売主側の思惑を逆手に取って、大きな値引きを引き出せる可能性があるからだ。ここでは、そのノウハウを簡単にお伝えしておこう。
まず、時期はお盆明けから。各物件のモデルルームはだいたいお盆前後の時期は休みとなっている。今年であれば8月18日まで休むケースが多そうだ。勝負は19日の週から9月23日までの約1か月間。
値引きを引き出せるかどうかは、そのマンションの売主がどの程度焦っているかにかかっている。例えば、5年連続供給戸数が1位の最大手は値引きを渋ることで有名。しかし、この最大手も大規模物件なら築2年超、普通の物件で築1年半超になると焦りだす。近頃では、それなりに交渉できるという話も聞くようになった。
それ以外のデベロッパーの場合は、物件のオフィシャルページで焦り度を測る。トップページに「家具付き販売」とか「総額1000万円プレゼント」などというキャンペーンを表示させている物件は、かなり強気の値引き交渉で臨むべきだ。
そうでなくても、建物が完成して半年以上が経過しているような物件は値引き交渉に応じるのが普通。10%から15%あたりを目標に交渉してみよう。
値引き交渉に高度なテクニックは必要ない。まず、自分がいくらだったら買うかという要求額を正確に伝える。そこを曖昧にすると担当者に嫌がられるだけで、交渉は進まない。
次に、その要求額が満たされれば必ず買うという意思を明解に示す。また、買えるという能力も示す。年収や自己資金などはキッチリと伝えた方がいいだろう。ただし、自己資金は少なめ示す方がいい。多めに伝えると高い住戸を強烈に勧められて面倒くさくなるケースが多いからだ。
残念ながら、新築マンションの販売現場は常に人手不足だ。昔は量は足りても質が足りなかったが、今は両方が不足している。だから「ハズレ」の担当者が付く場合も少なくない。ただの冷やかしならその方がいいのだが、値引き交渉をするのなら不都合が多い。自分たちの担当者と意思疎通が満足にできないと思ったら、早めに販売所長に直接電話して担当者を変更してもらうべきだろう。そういうことに遠慮はいらない。
さて、消費増税前の駆け込み需要でどれだけ賢くマンションを購入することができるか、皆さんのご健闘を祈る。