横綱・白鵬の日本国籍取得と同じ日に発覚したのが、千賀ノ浦部屋の貴ノ富士(十両5・元「貴公俊」)の暴行事件だった。こちらの事件をより大きく報じたスポーツ紙も少なくなかった。
「白鵬は“今日(帰化が認められた9月3日)が白鵬翔の誕生日だ”と大喜びだったのに、話題を横取りされて憤懣やるかたないでしょう。貴乃花親方とは激しく対立していましたが、その元弟子に晴れの日を汚された格好です。怒りの矛先は同じく貴乃花親方の元弟子で、今場所で大関復帰を目指す貴景勝にも向くのではないか。2人の取組はかなり激しい一番になるはずだ」(担当記者)
そして、カド番で迎えた7月の名古屋場所を全休し、関脇に陥落した貴景勝もまた、複雑な事情のなかで本場所を迎えている。
実は、貴ノ富士による付け人への暴行事件からは、「千賀ノ浦部屋の複雑な内情が垣間見える」(ベテラン記者)のだという。
「貴乃花部屋時代の約1年前にも、貴ノ富士は序二段の付け人を殴る暴力事件を起こしている。貴乃花親方が退職するきっかけの一つとなった事件だ。その後、貴乃花部屋は解散し、千賀ノ浦部屋に合併吸収されたわけだが、それによって部屋の中に3つの異なる経歴の力士が併存するようになったのです」(同前)
もともと千賀ノ浦部屋は出羽海一門の部屋だった(現在は二所ノ関一門)。元関脇・舛田山が2004年に春日野部屋から独立して部屋を興した。その後、2016年に現在の千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)が継承。そして昨年、貴乃花部屋を吸収した。そのため「先代の千賀ノ浦親方」の育てた力士、「現在の千賀ノ浦親方」がスカウトした力士、そして「元貴乃花親方」の弟子たちという3つの異なる経歴を持つ力士たちが、一つの部屋に集まっているのだ。