「ブス」をターゲットにした企画が炎上したり、女芸人への「ブス」いじりが物議を醸すようになった。容姿差別に関して厳しい目が向けられるようになってきたが、現時点で「ブス」であることに悩んでいる人はいるのではないか。「ブス」=見た目を武器にできない人はどう生きたらいいのか? そのポジティブな回答例の一つが、税理士、MBA取得、そして一児の母である田村麻美さんの生き方だ。
田村さんはブスであることを受け入れ、その上で、幸せな結婚と経済的自立の両方を手に入れるために、戦略的に生きてきた。その半生を綴った『ブスのマーケティング戦略』(文響社)は昨年の発売以来、売れ続けている。田村さんは「ブス」とどう向き合ってきたのか。また、昨今の「ブス」をとりまく社会の状況についての考えを聞いた。
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■「ブス」よりも、言われると憤る言葉
──田村さんは小学生のときに自分がブスであることに気づいて以来、ブスを受け入れ、その上で様々な戦略を立ててきました。とはいえ、「ブス」と言われて傷ついたことや、憤ったことはなかったのでしょうか?
田村:ブスと言われること自体には憤らないです。自分が美人だと思っていたら理不尽だと思うんでしょうけど、決して美人ではありませんから、ブスは事実だなと。ただ私は、キャラ的にいじられたり、ネタにされることは多いけど、そんなに酷い言われ方をしていないのかもしれませんね。それには、女子高だったことが大きいかもしれません。高校時代、私は「面白いブス」を目指して、クラスでそこそこ人気者になり、楽しい学生時代を送りました。多感な時期に男子のいる共学で過ごしたら、受け止め方もちょっと違ったかなと思います。
とはいえ、怒らない人間というわけでは決してなく、最近だと、「女なのに」「ママなのに」という言葉には強く反応してしまいますね。
──「女なのに」「ママなのに」は、どういったときに言われますか?
田村:たとえば私はお酒が好きで、今日、インタビューを受けているこの店(北千住のカラオケスナック・レジャード)にも仕事帰りにたまに来るんです。そうすると、「子どもを旦那に預けて、女がこういう店に来るのはいかがなものか」と眉を顰める人はいます。もっと露骨に「ママなのになんで子育てをしないのか」と言われたり。そういうときは、「男女の軸で人や物事を見るのはやめてくれ」とはっきり怒ります。言いたいんだけど我慢して言わない、というタイプではないですね。