日産自動車は、西川廣人前社長兼最高経営責任者(CEO)が役員報酬を不正受給していたことが発覚、事実上“解任”されたことを受けて、指名委員会(委員長は経済産業省出身の豊田正和)が10月末をメドに次期CEOの人選を進めている。当初10人程度がリストアップされたが、候補者を3人に絞り込んだという報道があった。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が9月27日、複数の関係者の話しとして、サントリーホールディングス(HD)社長の新浪剛史(60)、日産でパフォーマンスリカバリー(経営再建)担当で専務執行役員の関潤(58)、三菱自動車の最高執行責任者(COO)で仏ルノー元幹部のアシュワニ・グプタ(49)の3人の名前を挙げた。
人選の基準は、国際経験豊富かつ、国内で確固たる評判を得ており、日産を揺るがす足元の問題とは関係のない人物だ。
◆西川“解任”の真相
取締役会での西川廣人“解任”には様々な説がある。
「現在、“ポスト・西川”の候補の一人に挙がっている、日商岩井(現双日)出身の内田誠・専務執行役員がルノーに擦り寄り、西川切りの多数派工作を仕掛けた。そして、外国人取締役と井原慶子(社外取締役)をまとめて、西川を追い落した」(経済産業省の関係者)
だが、日産自動車の若手幹部はこう語る。
「内田は西川と負けず劣らず社内で人望がない。内田がトップになれば(日産の)技術屋のキーマンの多くは辞める」
また、「西川は、経営陣の思い切った若返りを胸に秘めていた。それに反発した山内康裕最高執行責任者(COO、西川退任後にCEO代行)が西川切りに動いた」という内部情報もある。これがもし本当なら、カルロス・ゴーンを捨てた西川が、今度は自分が詰め腹を切らされたことになる。因果は巡る、とはよくいったものだ。
「“ポスト・西川”の候補の中に関や内田を入れたのも山内。山内自身が社長になるか、いや会長になって関か内田をコントロールすることを考えているのかもしれない」との指摘もある一方で、「山内CEO代行にはギラギラした野心はない」と語る日産の幹部がいることを付け加えておく。