国内

中学受験 「英語を加えた5教科化」が現実的ではない理由

2020年度から小学5・6年生で「英語」が教科化されるが…(時事通信フォト)

2020年度から小学5・6年生で「英語」が教科化されるが…(時事通信フォト)

 2019年度の首都圏中学入試は、私立中学校数が約300校ある中で、じつに125校が何らかの形で入試に英語を導入した。小学校で英語が教科に“昇格”したことも大きいが、今後、中学入試は国語・算数・理科・社会に英語も加わり、5教科になる可能性はあるのだろうか。安田教育研究所代表の安田理氏がレポートする。

 * * *
 まず、中学入試で行われている「英語入試」の現状を探ってみたい。

 英語入試がなぜ生まれてきたのかといえば、「子どもをグローバル化社会で生きていけるように育てて欲しい」という保護者の要望に各学校が応えようとしていることがベースにある。実際に「グローバル教育」は「STEM教育」と並ぶ私立中高一貫校教育の“2大ベクトル”となっている。

 そうした姿勢を明確に打ち出すために、「グローバル」「インターナショナル」「国際教養」といったコース(クラス)を設置している学校は増えている。入試においても、「グローバル入試」「英語入試」と銘打つことで、「わが校はグローバル教育に力を入れています」と意思表示しているわけである。

 また英語入試は、隠れ帰国生(在外期間が足りない、帰国後年数が経ってしまっている等)のための入試という性格もある。ただ、英語入試はまだスタンダードなスタイルはなく、各校がそれぞれに工夫して行っているのが現状だ。

 大きくは、英語を選択できるスタイル(国語・算数・英語より2科選択、4科の理科・社会の代わりに英語を選択など)と、英語だけで受けられるスタイルに分かれるが、前者と後者ではまったく意味合いが違う。

 英語を選択できる学校は、これまでの中学受験の王道である進学塾に通って4教科ないし2教科を勉強していることが前提になる。しかし、大手進学塾に通っていると、プラスして英語を学ぶ時間的余裕はないから、実際は英語を選択する人はごく少数にとどまっている。

 国語・算数(あるいはどちらか)を必須で課すのは、私立中学校内で英語入試を検討したときに、「塾に通って国語・算数をしっかり学んできたものと塾に通っていなかったものが教室にいたのでは授業が成り立たない」という意見が出るからである。

関連記事

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン