患者数が2800万人と言われる腰痛は、抜本的な治療法が限られるのが悩ましいところ。もしかしたら解消策は、病院や整骨院などではなく、日常生活のなかに見出せるのかもしれない。
そこで、腰痛に関する最新の研究とともに、腰痛の名医たちに自宅での生活でも実践できる予防法を聞いた。まずは食事法から。
「体が消化しきれないほどの糖質を摂取すると、余分な血糖は軟骨の構成成分であるコラーゲン線維に付着してAGEという糖化物質を作り出します。コラーゲンが糖化すると椎間板の筋繊維が劣化し、それが原因で腰痛を発症しやすくなります。米やパスタなどの糖質を控えめにして、肉や魚、卵などのたんぱく質を多く摂取することを勧めます」
と話すのは、お茶の水整形外科院長で『カラダにOK!NG! 体操・動作・食事で「腰痛」は自分で治す』(ぴあ刊)の著書がある銅冶英雄氏だ。糖質の摂り過ぎは体重増にもつながり、腰に負担をかける。たんぱく質を摂取し、腰を支える筋肉をつけることが腰痛予防につながる。
高木病院副院長で整形外科部長兼脊椎外科センター長の宮本洋介氏は、筋力に加えて、骨を強化することも重要だという。
「高齢者の場合、腰痛の原因が骨粗鬆症にあるケースは多いので、予防のためにカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを摂ることが大切です。カルシウムは牛乳、チーズ、ビタミンDは青魚、ビタミンKは葉物野菜から摂れます」