「だいたい、潔癖症とデブって関係ないじゃないですか。何、この人? って。もうやっていけないと思って、その日は一人で帰りました」
以来、二人は会っていない。幸也さんから、謝罪のラインは来たが、多恵子さんは返事をしていない。元来冷静な多恵子さんは、アラフォーでこの出会いは貴重だと頭では分かっているものの、心がついていかなくなったという。
「食生活って大きいと思うんです。私は何度かダイエットを試みたんですが、食べることが好きで、諦めざるを得なかった。なのに、食をきっかけに喧嘩になり、自分のなかではコンプレックスでもあった部分を悪く言われて……。ショックでした」
“大きく見れば”似た者同士でも、“細部”に光を当てれば、すべて同じというわけにはいかない。「私は生活の7、8割はズボラだけど、2割くらいは潔癖で、その2割が譲れないことがわかりました。潔癖な部分が合う人を今度は見つけたいと思います」と、多恵子さんはいま考えている。