自国開催のW杯での史上初のベスト8入りの余韻もあって、日本ラグビーが盛り上がりを見せている。1月12日に開幕したトップリーグでは全国8か所で、過去最多だった昨シーズンの延べ8万3719人よりもさらに3万人以上多い、11万6737人が観戦した。
「W杯で活躍した福岡堅樹(パナソニック)の50メートル独走トライ、松島幸太朗(サントリー)の20メートルの股下パス、姫野和樹(トヨタ自動車)のジャッカルなどが繰り返しスポーツニュースで流れ、翌日のスポーツ紙も大きく紙面を割いた」(担当記者)
この人気を持続させる上で、カギになるとみられているのが7月の東京五輪だ。W杯メンバーが出場すればさらなる盛り上がりにつながりそうだが、東京五輪のラグビーは15人制ではなくセブンズと呼ばれる7人制。「15人制のラグビーと同じ広さのフィールドを少ない人数でカバーするため、ボールが大きく動き、スピードとアジリティ(敏捷性)、ハンドリングスキルが重要。エキサイティングで流れるようなプレーが見どころ」(同前)だとされる。
ただ、15人制で実績のある選手がそのまま7人制で活躍できるかはわからない。「まったく別の競技」だと指摘する声もある。
「前回のリオ五輪では2015年のW杯で活躍した山田章仁が7人制代表の最終選考で落ちている。福岡は2015年のW杯とリオ五輪の両方に出ているが、それでもリオでは控え選手だった。15人制の選手が7人制に移行しようとすれば、1年以上前から7人制に専念するくらいでないと通用しない。体の作り方がまったく違う。世界的にも15人制と7人制は選手を分けているので、両方を行き来する選手はほとんどいない」(スポーツジャーナリスト)
昨年12月のワールドラグビーセブンズシリーズ南アフリカ大会で日本は15位。基本的には東京五輪でのメダルは難しいとされている。12月20日、ラグビー協会では東京五輪の7人制日本代表第二次オリンピックスコッド19人を発表。トップリーグに出場しないセブンズ専任でプレーする選手が選ばれた。
岩渕健輔ヘッドコーチは「門戸は一切閉じるつもりはない。しかし、来たい人は早く来てほしい。五輪前の最後の大会はアジアセブンズインビテーショナル(4月下旬)だが、1試合も国際大会に出ないでオリンピックに出ることは難しい」とコメント。7人制を専門にやっている選手のチームワークを重視する方針を打ち出した。