かつてヴェルディ川崎の監督としてJリーグ2連覇を果たした松木安太郎氏は、決して感情だけではなく、冷静に現実を見極めた上でのポジティブさと厳しさを持ち合わせて解説しているのではないか──。
サッカーU-23アジア選手権で日本はサウジアラビア、シリアに連敗を喫しグループリーグで敗退。3戦目となった1月15日のカタ―ル戦も1-1の引き分けとなり、3戦未勝利に終わった。
同試合も、テレビ朝日系列の中継では松木氏と中山雅史氏が解説を務めた。そして前半アディショナルタイムに退場者を出した後、松木氏は「1人足りないほうがいいチームになる」と発言した。この発言の真意について、松木安太郎研究家でライターの岡野誠氏が考察する(※時間表記はテレ朝の中継を基準。松木氏発言の書き起こしは「まあ」「ちょっと」「やっぱり」「っていう」「ね」などの言葉を省略している所あり)。
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大雑把に分ければ、人間には「結論ありきで物事を見る人」、「物事を見てから結論を下す人」の2種類が存在する。常にポジティブな発信をしている松木安太郎氏は前者に思われがちかもしれないが、実際は後者である。1月15日のカタ―ル戦は、それを証明する一戦だった。
日本はMF田中碧の退場で、後半10人での戦いが強いられた。ハーフタイムに入った直後、松木氏はすぐに気持ちを切り替えた。
「1人足りなくてもね、逆に足りないほうがいいチームになったりするんでね、後半期待しましょうよ!」
10人対11人になれば、当然日本の不利が考えられる。松木氏の仮説に、疑問を持った視聴者もいただろう。後半に入ると、何度もこの説を唱えるようになる。