2018年3月2日、東京・目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5才)が虐待の末に死亡した事件。結愛ちゃんを直接暴行したのは夫・雄大だが、母・優里(27才)は「結果的に容認した罪は重い」と裁判官は判断、保護責任者遺棄致死罪に問われた。夫のDVで正常な判断能力が失われていたことは考慮された上で、実刑8年の判決が下された。
そんな優里が自ら事件について綴った『結愛へ 目黒区虐待死事件 母の獄中手記』が出版された。そこには獄中で罪や現実と向き合おうとするたびに懊悩する姿が、淡々と描かれている(以下《》内は手記からの引用)。
◆私は彼のことも自分のことも一生許さない
2019年8月。裁判まで残り1か月。ようやく公判準備を始めた優里だが、裁判書類は新たな現実を見せつけた。
《嫌になる。裁判書類をいくつか見ているうちに本当に自分が嫌になる。なぜ私なんかが生きているんだろう》
《ついに彼の調書を読んだ。まだ結愛の体の傷の記録は見れない。でもおかしい。何か違う。彼は本当のことを言っていない。(略)調べで刑事からもっと怖いことを聞かされた。(略)足の裏にやけどのような、タバコの火を押しつけたような丸い傷があったという》
湧き上がる怒り。一方で雄大を看過した自らの罪。再び死を思いつつ、初公判約10日前にはこう綴っている。
《生きて償うことを、結愛はどう思う?(略)私には死ぬことと生きること、どっちを選べばいいのかわからなくなってる。どっちを選んでも間違いだと思うから。(略)
結愛へ。生きててごめんなさい。死んでもごめんなさい。
結愛のことを想ってくださるすべての方に。(略)私は母親として絶対にしてはいけないことをしました。私には謝ることしかできません。ただ謝ることしかできません。