内間はM-1の敗因をどう見たか

 ただし、マイナスからの再スタートだった。笑いとは、究極のところ、お客さんに愛してもらえるかどうかだ。2010年のM-1で、スリムクラブは言葉を発することなく、その佇まいだけで場内を爆笑の渦に巻き込んだ。つまり2人の存在そのものが客のハートをつかんでいたのだ。

 どんなにおもしろいことを言っても、愛されていなければ、客は心を固く閉ざしてしまう。それだけに、闇営業問題で少なからずスリムクラブに付着してしまった負のイメージは大きなビハインドになった。

 結論から書くと、昨年末のM-1においてスリムクラブは準々決勝で敗退した。復帰ステージと同様、闇営業ネタを織り込み、客の心をほぐしにかかったが、2010年のときの客席を幸福で覆い尽くすような笑いは生まれなかった。真栄田が敗因をこう分析する。

「ガタガタでしたね。結局、闇営業問題でこうなって、そのマイナスを取り戻すための漫才になってた。客からマイナス分を奪おうとしているんですよ。それは、“ブラックエンジン”なんです。

 ジャパネットたかたの商品が売れる理由、わかります? 本当に自分でいいと思った商品をただ人に紹介しているだけだからなんです。僕らも2010年はそうだった。こんなおもしろいネタができたんで、見てくれませんか? ね、めっちゃおもしろいでしょ、って。奪うんじゃなくて、与えようとしていた。なので、“ホワイトエンジン”だったんです」

 内間も似た感想を漏らした。

「うちらは自分のエゴが出るとダメ。去年は、これ、ウケるでしょうって、押し売りのようになってしまった」

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