テレビからは力士がぶつかり合う音だけが響き、観客の歓声は一切聞こえない──日本相撲協会は3月8日が初日の大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)を無観客で開催すると決めた。
決定したのは、初日の1週間前。新型コロナウイルスへの対策として政府が出した「大規模イベントの自粛要請」を受けての決定だった。
NHK中継は実施されるので1場所5億円ともいわれる放映権料は支払われるとされるが、問題はチケットの払い戻しだ。協会は春場所で1日7000万円、15日間で10億円程度の入場料収入を見込んでいたため、それを丸々失うことになる。
しかも、払い戻しの“ダメージ”はそれだけにとどまらない。
「1日7000万円のチケット収入はあくまで“表”の入場料。大相撲では、協会がネットや窓口で直接売り出すチケットは全体の3割程度とされ、残りは販売を委託されている相撲茶屋が『土産』を付けて倍くらいの値段をつける。そのチケットがさらに人手を介し、どんどん高い値がついていきます」(担当記者)
茶屋は弁当や飲み物、限定グッズを詰めた「お土産」をチケットとセットで販売。チケット代に5000~2万円が上乗せされる。