新型コロナウイルスの感染で持病の有無が重症化するかのカギを握っていることを示唆するデータがある。
WHOと中国を含む25か国の専門家が2月25日付でまとめた報告によれば、中国での新型コロナウイルス感染者のうち、併存疾患がない人で死亡したのは1.4%にとどまった一方で、心・血管系疾患のある感染者では13.2%が、糖尿病を抱える感染者では9.2%が死亡していた。さらにそれに続いて、高血圧を患っている感染者では8.4%が死に至っていたのだ。
こうした持病とともに注意しなくてはならないのが、服用している「薬」の影響である。重症化リスクが指摘される「免疫抑制薬」は、その名の通り免疫を抑制する薬で、手術後に身体が免疫反応で炎症を起こすことなどを防ぐ。銀座薬局代表薬剤師の長澤育弘氏が解説する。
「免疫とは、人間の体内に侵入するウイルスなどの異物に抵抗し、生命活動を維持する働きのことです。ウイルスに感染した人が免疫抑制薬を服用していると、体内で増殖するウイルスを抑制する働きが低下するため、結果としてウイルスが増えて重症化する可能性があります」
免疫を抑制するはたらきを持つ薬は、幅広い疾患に対して処方されることがある。
「骨折などで強めの炎症が生じた場合や、痛風やリウマチを患った人が痛み止めとして飲むことの多いステロイド(プレドニゾロンなど)には、免疫を抑制する効果があります」(長澤氏)
もうひとつ重症化リスクが指摘されているのが「抗がん剤」だ。