「抗がん剤は、ほかの細胞に比べて何倍ものスピードで分裂するがん細胞の増殖を強い作用で抑え込みます。このため抗がん剤を服用すると、白血球やマクロファージといったウイルスを撃退する免疫細胞の分裂まで抑え込んでしまい、結果的にウイルスが増殖して重症化しやすくなると考えられます」(長澤氏)
こうしたリスクが指摘される薬を服用している人が取るべき対応について、長澤氏はこう強調する。
「患者が自己判断で薬の服用をやめることは、絶対にやってはいけない。何か不安があれば、どう対応すればいいのか、まずは主治医に相談してください」
その一方で、新型コロナウイルスと対峙するにあたって「飲まないほうがいい薬」も存在する。
感染の初期症状が風邪の症状と似ていると聞くと、「抗生物質」が有効と考える人がいるかもしれないが、予防や治療に効果はなく、むしろ体調悪化を招く懸念があるのだ。
「そもそも抗生物質が効くのは細菌に対してであり、ウイルスには効果がありません。むしろ抗生物質の副作用で下痢の症状が出たり、胃が荒れたりする可能性があります。この機会にウイルス性の風邪にも抗生物質は効かないことを覚えてほしい」(長澤氏)
持病、服用薬と重症化リスクの関係をしっかり頭に入れることが肝要となる。
※週刊ポスト2020年3月27日号