最近のお笑いコンビはツッコミが注目されることが多い。記憶に新しいところでは、昨年末に開催された『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で、ぺこぱの斬新なツッコミスタイルが注目を浴びた。松陰寺太勇はツッコミを入れると見せかけてボケに乗ってしまうという“ノリつっこまない”という新たなスタイルで審査員、視聴者にインパクトを与えた。
同大会で優勝したミルクボーイのツッコミも新しいものだった。本来、ツッコミはボケを訂正するものだが、内海崇はまずボケに対する解答を明示し、さらにそこに“追加の説明”をするというスタンスでネタを進めていき、爆笑をかっさらっていった。
正直、ぺこぱやミルクボーイのネタを見て、ボケ担当よりもツッコミ担当のほうが記憶に残っているという人も少なくないだろう。彼らだけの例に留まらないが、今のお笑い界は「ツッコミ革命」とも呼ばれる変革期が訪れているようだ。
そして、ツッコミが注目を集めるようになったことで、お笑い芸人たちのネタ作りの考え方も変化しつつあるよ。かつてのボケで1つの笑いを取るスタイルだけでは通用しなくなってきており、「ボケとツッコミ両方で笑いを取る」ということが重視されるようになった。都内のライブ会場で活躍する芸歴10年目の芸人Aさん(30代)はこう語る。
「僕はコンビでボケをやっています。4年くらい前まではネタの主軸はボケであってボケがネタのすべてだと思っていました。だけどオードリーさんや銀シャリさんのネタを見て、ツッコミでも笑いを作れるんだと思うようになり、コンビでツッコミのフレーズ、ツッコみ方をさらに工夫するようになりました。すると、それまでになかったネタを作れるようになり、前より確実にウケるようになりました」