ただし、Aさんには新たな悩みも生じているという。
「結局、ボケが“ツッコミのフリ”みたいになってしまい、僕の方はどんどん目立たなくなっています(苦笑)。最近では、フリートークでもツッコミの相方ばかりが注目されるようになってますね……」(Aさん)
元々、お笑いのネタというのは、フリがあって、ボケがあって、ツッコミを入れるというのが1つの流れとなっている。いきなりボケても笑いには繋がらない。フリがあって「こういう流れで行くだろう」と観客に予想させて、そこを外すことによって笑いを生む。
しかし、ツッコミで笑いを取るとなると、その直前のボケも含めてフリのようになる。ボケにとってはボケている感じがしなくなり、物足りなさもあるのかもしれない。Aさんの相方であるBさん(30代)にも話を聞いた。
「芸人を始めた頃はオーソドックスなボケとツッコミのネタをやっていました。しかしそれだと笑いの量の限界があってネタもウケなくなり悩んでいました。そんなある時、飲み会でツッコミにたまたま一言添えたらそれがウケたので、ネタにも取り入れてみました。
初めのうちは違和感もあったのですが、半年くらい経って慣れてくるとだんだんと舞台でもウケるようになってきましたね。今ではネタで笑いが弱い部分は、ボケは変えずにツッコミの言葉を変えてブラッシュアップするようにしています」(Bさん)
ネタ中、ボケの部分で観客が「おや?」と思った時に最適なタイミングでツッコミを入れると笑いが生まれる。そのツッコミのフレーズやツッコみ方が独特だと、ボケよりも印象に残り注目される。