誰もが夢見るものの、なかなか現実にならない夢の馬券生活。調教助手を主人公にした作品もある気鋭の作家、「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆する須藤靖貴氏が、馬券購入のとき、パドック解説は必要なのか不要なのかについてお届けする。
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令和2年のささやかな目標は国語辞典読破。モノ書きのくせにモノを知らないと猛省し、1日2ページずつ目を通している。これが存外に面白い。分かっているようでそうでないことも多く、時にハッとさせられる。
たとえば「必要悪」。「それ自体取り上げる時は悪と見なされるが、その社会の存続のためには必要な手段として行われるもの」(新明解)である。例として「死刑、警官による極悪犯人の射殺」の次に「公営のギャンブル」だと! 競馬は必要悪なのだった。「それ自体は悪」か……。
さて、必要云々といえばグリーンチャンネルなどのパドック解説。あれを参考にする方も多いだろう。知人はまったく不要と音声を切る。そういえば競馬場やウインズでのモニターは無音だ。しかし浦和や川崎などは音声が大きく、イヤでも耳に入る。私などは「毛ヅヤもよくて集中しているのか」なんて言葉に引きずられ、それが人気薄の馬だと気になってしまうのであった。競馬場のパドックでイヤホンを耳にしている御仁も多い。
分かったつもりにならず、パドック解説をしっかりと考察しようと思い立った。
中継では「パドックの状態を踏まえた推奨馬」と言う。発言者はたいていトラックマン。1番人気馬を推奨しないことはまずない。多少入れこんでいるときでも「許容範囲」とくる。
許容範囲って誰の主観なんだ(馬がそう言ってるなら面白いけど)。今後、「許容範囲認定馬」の着順を調べると面白いかもしれない。