さらに上司の阿部真士チーフプロデューサーが、「(藤田プロデューサーの)『わたし、7年連続でおみくじは大吉を引いています!』という言葉に押されて勢いで企画を通しました。ちょっと常識からズレていて、漫画の中から出てきたみたいな新人プロデューサーが全力でコンプライアンスに挑むので色々問題はあると思います。ですが、浦安を愛してやまない気持ちに免じて大目に見ていただければ幸いです」とコメント。後輩の挑戦をユーモアたっぷりに後押ししている様子が伝わってきます。
同様に、『きょうの猫村さん』の濱谷晃一プロデューサーは「こんなチャレンジングな実写化」「猫村さん役という突拍子もないオファー」、『レンタルなんもしない人』の稲田秀樹プロデューサーは「おそらくは史上初であろう『なんもしない』主人公」「何もしないドラマですけど、それで良ければご覧ください」とコメントしていました。テレビ東京に挑戦しやすいムードがあり、プロデューサー自らそれを楽しもうとしているのです。
◆熱量の高さと短期集中型の撮影
もちろん、ただ自由に挑戦すればいいのではなく、やるからには相当な熱量が必要。実際、テレビ東京のチャレンジングな実写化ドラマは、「プロデューサーや演出家がその作品の大ファン」というケースが大半を占めていますし、「これがやりたいんだ」という思いの強さで実現にこぎつけています。
『きょうの猫村さん』で主演を務める松重豊さんが、「最初にお話を頂いてから何年か経ち、もう立ち消えになったかと思うと淋しく感じたものです」とコメントしていました。いかに制作サイドが丁寧かつ熱心にオファーを出し続けていたかがわかるでしょう。
重要なのは、その熱量がスタッフとキャストのモチベーションにつながっていくこと。プロデューサーの熱量に応えるべく、質の高いスタッフとキャストが集まり、撮影現場の熱気が上がっていくのです。
また、「深夜帯に多くのドラマ枠を編成し、視聴率などのマーケティングから逆算して作らないこと」「短期集中型の撮影スケジュールが多いこと」もスタッフとキャストのモチベーションを上げていると言えるでしょう。