新型コロナウイルスの感染収束への期待感が強まっている。東京都が公表した検査の「陽性率」は5.9%で、これまで一番高かった31.6%に比べればかなり減っていることになる。だが、決して安心はできない。ニッセイ基礎研究所・主席研究員の篠原拓也氏が、検査の精度や信ぴょう性の高さについて説明する。
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新型コロナウイルスの感染拡大が始まって、すでに数か月が経過している。緊急事態宣言は5月末までに延長されたが、特定警戒都道府県以外には新規感染者が安定して少ない県もあり、感染の状況は地域によって異なる。
新規感染者数が週単位で減少傾向にあることなどの条件を満たせば、緊急事態宣言を早期に解除するといった、収束に向けた出口戦略も議論されつつある。感染症の状況を把握したうえで、ウイルスとの共生に向けた新たな取り組みを模索する動きが出ている。
感染症の状況をつかむうえで、もっともカギとなるのが検査だ。精度の高い検査を行うことで、感染者と非感染者を分けることができれば、それぞれの区分に適切な対応をとることができる。
しかし、現在まで、日本は、新型コロナの検査数が諸外国に比べて大幅に少ない。このため、検査体制の拡充が必要といわれている。そこで、たとえば新たな検査キットを薬事承認するなど、検査数を大幅に増やすことも検討されている。
そんな中、東京都は新規感染者数だけでなく、検査を受けた人のうち陽性判定を受けた人の割合である「陽性率」の公表を5月8日より始めた。5月10日の陽性率は、速報値で5.9%だったとされている。
それでは、こうした検査体制の拡充により検査が受けやすくなり、実際に検査を受けて判定結果が出たときには、どう行動すべきだろうか。少し、考えてみたい。