父が急死したことで、認知症の母(85才)を支える立場となった、女性セブンのN記者(56才・女性)が、外出自粛により体験した母とのビデオ通話についてつづる。
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外出自粛が続き、オンラインが人気だ。私はまだなじめずにいたが、閉じこもり状態のため、背に腹は代えられない。手始めにスマホでビデオ通話をしてみた。画面に映るぼんやり気味の母の目に、好奇の輝きが灯った!
◆「え、これ私?」がオンラインの第一関門
取材ではできる限り、対面で話を聞くのが私の信条だ。
目を見て言葉を交わすことでしか得られないことがある。たとえインターネットで得ていた情報でも、目の前で語ってくれるだけでドーンと心に響く。だからこそ“高齢者には交流が大切”という意味もよくわかる。
そこへ来てこのコロナ禍。取材はほぼビデオ通話になった。接触せずに、顔を見て話せるのはいい。しかし、どうも違和感がある。たぶん画面に映る自分の顔だ。
「え、私ってこんな顔?」
実はこの話、オンラインカフェなどを試みようとする比較的年配の人たちからもよく聞くのだ。約半世紀前、ラジカセが普及し、初めて“録音した自分の声”を聞いたときのみんなのザワつきにちょっと似ている。“機械越しの自分”と“自分が思う自分”との微妙な違い。大したことではないが、少なからずオンラインの関門ではある気がする。
そんなことで私がぐずぐずしているうちに、身近にもオンライン飲み会や老親見舞いなど、新しい波が続々到来。そして母の閉じこもり生活も1か月を超え、明らかに意気消沈。独居の頃以来の妄想も再発し始めた。何か手を打たねばと、スマホのビデオ通話をやってみることにした。
◆スマホ画面に前のめり 凝視するのは自分の顔