「韓国政府は行動制限の解除を3段階に分けて実施しました。4月中旬までは最警戒の『外出規制』とし、4月20日からは『2メートルの社会的距離の確保』の段階に移行。このタイミングで、ナイトクラブが条件付きで営業できるようになり、6割以上が営業を再開した。
若者が集まる韓国のクラブやカラオケは地下にある場合が多く、換気が悪い。“基準をゆるめすぎでは”との指摘も少なくなかったが、5月6日にはさらに緩和されて『2歩分の社会的距離を取る』というさらにゆるやかな規制となった。
まさに人々の警戒が緩んでしまったタイミングで起きたのが、クラブでのクラスターでした。国民の心配が現実のものとなったのです」
さらに利用者約5500人のうち2000人ほどが虚偽の連絡先を記入していたため、その後の感染経路を追えない状況となってしまったという。結果、当初は13日から予定されていた学校再開も延期。政府はクラブ利用客全員にPCR検査を義務づけたが、時すでに遅しだった。
◆感染自治体のトップをクビに
韓国と対照的なスタイルで第二波拡大を封じ込めているのが中国だ。5月7日、吉林省で女性1人の感染が確認されたが、感染者拡大はその家族や知人など20人ほどに抑え込んだ。
9日にはコロナウイルスの“震源”となった湖北省武漢で89歳の男性と、その家族の計6人の感染が確認された。4月8日にロックダウン(都市封鎖)が解除されてから初となる感染者に不安は高まったが、ただちに全市民1100万人を対象とするPCR検査の実施を決定した。6月3日に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)を上梓するジャーナリスト・浦上早苗氏が言う。
「中国ではクラスターが発生するたび『検査、隔離』を徹底的に行なっています。武漢ではPCR検査に加え、市内の住宅街から離れるときは許可証の携帯など一定の規制・条件を残している。吉林省でも居住者以外の出入りを禁止するなどの措置をとりました。強権的に感染者数の増加をコントロールし、第二波を抑え込もうとしています」