「経営」と「やりたいこと」の板ばさみで暗中模索
とはいえ日本に戻ると、医師としてのキャリアを積まなければという義務感を再び感じることとなる。
「2014年、知り合いの紹介で、銀座のクリニックに院長として勤めることになりました。薬を使わない方針のクリニックということだったので、いままでの経験を生かせるだろうと引き受けたのですが、いちばんキツかったのが、サプリメントを売らなければいけなかったこと。
もちろん、サプリや薬が必要な人は摂るべきだと思うんですけど、私は必要最低限しか出したくない。でも、それだと経営が成り立たない。院長として売り上げを上げることと、できる限り食べ物で治したいということ。どうしてもこの2つの折り合いをつけられず、また、悩み始めてしまったんです。
うつ病になるほどのメンタルの落ち込みはなかったけれど、ストレスで自律神経が乱れ、立ち上がるとめまいが起きる。私は経営者には向いていないのでは、と自問自答の毎日でした。そうしているうちに経営母体の事情で閉院が決定。これからどうすればいいのかと、ひたすら考え続けました」