北朝鮮と韓国が一触即発の緊迫状態に陥っている。6月9日、北朝鮮が南北を結ぶすべての通信回線を遮断したことに始まり、同月16日には開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所を木っ端みじんに爆破した。いったい北朝鮮の強硬姿勢はどこまでエスカレートするのか──。ジャーナリストの宮田敦司氏がレポートする。
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一連の北朝鮮の挑発行動はさらに続く公算が大きい。北朝鮮は軍の行動計画を実行に移し、一段と緊張を高めるだろう。朝鮮人民軍総参謀部は、非武装化された地帯に進出し、前線を要塞化すると宣言しているからだ。
もっとも考え得ることは、2018年の軍事合意にもとづき撤収した非武装地帯(DMZ)の監視所や、2000年代に軍を撤収させた開城工業団地や金剛山観光地区を再武装することだが、それ以外にも深刻な事態の発生が考えられる。
そこで本稿では、北朝鮮軍の過去の挑発行動から、今後起こり得る事態について考えてみたい。
◆延坪海戦(第1延坪海戦)/1999年6月15日
この事件は朝鮮戦争以来もっとも大規模な海上における戦闘である。
北朝鮮海軍艦艇が韓国領である西海五島(黄海上にある韓国の5つの島)北側のNLL(北方限界線・事実上の海の軍事境界線)を侵犯したため、韓国海軍の哨戒艇が体当たりして押し出そうとした。
これに対して北朝鮮海軍の警備艇が発砲し、これに韓国軍が応戦。北朝鮮軍の魚雷艇1隻及び警備艇1隻が沈没し、残った北朝鮮艦艇がNLLの北側に引き上げた。
韓国軍が北朝鮮軍の通信を傍受した結果、北朝鮮軍の死傷者は130人以上であることが判明した。韓国軍は「デフコン3に準ずる態勢」を発令した(デフコン=DEFCONは防衛準備態勢のレベル)。