国際情報

増長する北朝鮮の武力挑発 それでも韓国が経済支援する矛盾

北朝鮮によって破壊された南北共同連絡事務所(朝鮮通信=時事通信フォト)

北朝鮮によって破壊された南北共同連絡事務所(朝鮮通信=時事通信フォト)

 北朝鮮と韓国が一触即発の緊迫状態に陥っている。6月9日、北朝鮮が南北を結ぶすべての通信回線を遮断したことに始まり、同月16日には開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所を木っ端みじんに爆破した。いったい北朝鮮の強硬姿勢はどこまでエスカレートするのか──。ジャーナリストの宮田敦司氏がレポートする。

 * * *
 一連の北朝鮮の挑発行動はさらに続く公算が大きい。北朝鮮は軍の行動計画を実行に移し、一段と緊張を高めるだろう。朝鮮人民軍総参謀部は、非武装化された地帯に進出し、前線を要塞化すると宣言しているからだ。

 もっとも考え得ることは、2018年の軍事合意にもとづき撤収した非武装地帯(DMZ)の監視所や、2000年代に軍を撤収させた開城工業団地や金剛山観光地区を再武装することだが、それ以外にも深刻な事態の発生が考えられる。

 そこで本稿では、北朝鮮軍の過去の挑発行動から、今後起こり得る事態について考えてみたい。

◆延坪海戦(第1延坪海戦)/1999年6月15日

 この事件は朝鮮戦争以来もっとも大規模な海上における戦闘である。

 北朝鮮海軍艦艇が韓国領である西海五島(黄海上にある韓国の5つの島)北側のNLL(北方限界線・事実上の海の軍事境界線)を侵犯したため、韓国海軍の哨戒艇が体当たりして押し出そうとした。

 これに対して北朝鮮海軍の警備艇が発砲し、これに韓国軍が応戦。北朝鮮軍の魚雷艇1隻及び警備艇1隻が沈没し、残った北朝鮮艦艇がNLLの北側に引き上げた。

 韓国軍が北朝鮮軍の通信を傍受した結果、北朝鮮軍の死傷者は130人以上であることが判明した。韓国軍は「デフコン3に準ずる態勢」を発令した(デフコン=DEFCONは防衛準備態勢のレベル)。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン