今年はコロナウイルス騒動により、お彼岸の墓参りができなかった人も多いはず。騒動が収束した折には、墓参りに訪れた人が気持ち良く故人を悼むことができるようにするのが寺の努めだが、墓参道を整備する場合、費用を受け持つべきのは寺か、それとも檀家か? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
墓参りしたときのこと。寺の住職から「墓の前の道をアスファルトにしたい。水はけもよくなるし、美観的にもよい」といわれ、その費用を出してもらえないかと相談されました。別に出し渋るつもりはないのですが、墓は寺の敷地内にあります。こういう場合、寺が設備費用を払うべきだと思うのですが。
【回答】
墓地には宗派や信仰の有無を問わない霊園、昔ながらのお寺の檀家が使用する寺院墓地、村落の住民が利用する共同墓地があります。霊園墓地では通常、利用契約で管理費の負担や墓地全体の維持管理の方法について定められています。共同墓地では、利用者全員で構成する団体が管理しています。ご質問は、寺院墓地のようです。
そこで管理規約がない寺院墓地と仮定して検討します。その場合、墓地利用の由来を考えることが大切です。寺院墓地を檀家が使用できるのは、管理費などの対価を支払うからではありません。なにより寺院の教義を信仰し、お寺を護持する務めがある檀家の立場に基づいているのです。