「韓国には『川に落ちた犬は棒で叩け』という諺がある。非常に激しい競争社会なので、高い地位に登り詰めた人は、一度失脚すると徹底的に叩かれて、二度と這い上がれない。だから、自暴自棄になって死を選ぶ人が多いのだと思います」(前出・前川氏)
一方で、疑惑の関係者の死によって捜査がそれ以上進まなくなる例が多々あることから、本当にすべて自殺なのかという疑いの声も根強い。韓国人作家の崔碩栄(チェ・ソギョン)氏もこう疑問を投げかける。
「今回の朴氏の事件でも不審な点が多い。朴氏がリュックを背負って家を出てから、山に到着するまでが非常に短時間で、記者が警察に『なぜそんなに早く着いたのか』と聞いたら、『タクシーを使ったんだ』と答えていた。しかし、今どきのタクシーにはみなドライブレコーダーが設置してあり、朴氏は有名人なので、タクシー会社を調べればすぐにわかるはずなのに捜査をした形跡がない。死因も明らかにされていないのです。
慰安婦施設の所長も、浴室で座って、首に巻き付けたホースを自力で締めて死んでいたとされるが、そんなことが可能なのか。もちろん、他殺だとする証拠はないが、警察もマスコミもろくに調べず、はなから自殺と決めつけて片付けようとしている。文在寅政権になって、政権に近い人物が疑惑に巻き込まれたとき、その周辺人物が複数命を落としたが、自殺で片付ける傾向が強まっていると感じる」
真相は深い闇に包まれている。
●取材・文/清水典之(フリーライター)