新型コロナウイルスの影響で120試合制に縮小された今季、各球団は4分の1である30試合を消化した。パ・リーグは首位・ソフトバンクから4位・ロッテまで2ゲーム差、最下位・日本ハムまで4.5ゲーム差と混戦模様だが、セ・リーグは巨人が2位・ヤクルトに3.5ゲーム差をつけ首位を快走している。最下位・中日には既に9ゲーム差をつけており、このまま独走してしまう可能性もある(記録は7月26日現在。以下同)。野球担当記者が話す。
「巨人は開幕直後に楽天からウィーラーを獲得するなど補強に余念がない上に、原辰徳監督の起用が見事に決まっている印象です。亀井善行や中島宏之らベテラン、吉川尚輝や北村拓己ら若手、パーラやウィーラーら外国人選手を、それぞれ優遇しすぎることもなく、適材適所で起用している。
レギュラーは坂本勇人、丸佳浩、岡本和真だけ。その坂本や丸も調子が悪ければ、バントのサインが出るし、スタメンを外れる日もある。毎試合のように、ベンチ入り選手の大半を使いますから、選手は常に高い緊張感で試合に臨める。原監督の起用法がチームを活性化させています」(以下同)
在任14年目を迎えた原監督は通算1000勝を超え、今季中にV9を達成した川上哲治監督の1066勝を抜いて巨人史上1位になることは確実だ。振り返れば、43歳で就任した2002年からの第一次政権時、他球団の指揮官は阪神・星野仙一監督やヤクルト・若松勉監督など、年上ばかりだった。2006年からの第二次政権時には、中日・落合博満監督、阪神・岡田彰布監督という少し年上の監督の在任中であり、この3チームが優勝を争っていた。
「岡田監督は7回から9回までを1イニングずつジェフ・ウイリアムス、藤川球児、久保田智之という強力なリリーフ投手(通称・JFK)に任せるパターンを生み出し、今ではどの球団もこの“勝ちパターン”の起用法を取り入れています。落合監督は2007年のクライマックスシリーズ(以下、CS)で大方の予想に反して左の小笠原孝を先発させ、左打者を並べた巨人打線を手玉に取った。渡辺恒雄会長も、落合監督の手腕に白旗を上げていたほど。2人とも、原監督に引けを取らないどころか、確実に自分の方が上だという自負があったでしょう」