Kさんを含めた彼女たちは、服装からしてもエイジレスにこだわっている女性が多かった。美しくあることに時間を費やすことは、歓迎すべきことだと思うので、そこはスルーするとしよう。全体的に仕事に打ち込むタイプは少なくて、「仕事はあくまでもATMです!」と、本気なのか冗談なのか分からないことを言っている人もいた。
でもその代わり、私生活に全力投球している。男性たちにアプローチをし続けて、飲みに行けばおごってもらうのがマスト事項だ。さらに彼女たちに対して感心するのは、全方位に対して甘い態度を放出する。女性が相手でも、姉御肌の頼れそうな人物がいれば、「おねえさぁん(ハート)」とすり寄っていく。ああ、昔から体育祭や文化祭でリーダーになることが多かった、完全まとめ役の私は彼女たちの標的だったのだ、と納得した。
あなたのスマホも見直して欲しい。平仮名の小文字や「★」、ハートマークがひらひらと舞っていたら、それはドラマ『ギルティ』の瑠衣がそうであるように、手のかかることに巻き込まれる危険信号である。
最後に。アラフォーになったので、最近はなるべく、無駄なエネルギーを使わずに人と揉めずに生きていくことを決めている。そんな心情なので、紹介してきた彼女たちとはなるべく距離をおきたい。そう思いながらも、年齢を重ねても全くテンションの変わらない彼女たちの元気な様子を眺めていると、一方で微笑ましく思う部分もある。水商売でもないのに、ターゲットにお金を使わせて、経済を回しているのだとすれば、彼女たちは今の日本にとって必要な栄養ドリンクなのかもしれない。
【プロフィール】こばやし・ひさの/静岡県浜松市出身のエッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター。これまでに企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊以上。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。