初めてでもすぐ弾けて、何といっても明るく軽やかな音色が魅力のウクレレ。現在87才の高木ブーさんもウクレレ奏者として知られ、高齢者の習い事としても人気だが、オンライン教室で初挑戦する人も増えているという。
また、音楽を聴いて楽しむだけでなく、演奏することで心が癒され前向きになれると、音楽セラピーとしても注目される。認知症をはじめとする高齢者ケアにも、ウクレレを生かすべく活動する日本音楽医療福祉協会理事長の落合洋司さんに聞いた。
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演奏はコミュニケーション。言葉不要で孤独が癒える
「ウクレレでもギターでも、楽器を操り、音を聴きながらひとつの旋律を奏でようと集中すると、気持ちが落ち着いて前向きになれるのです」と、落合さんは言う。
学生時代は野球に没頭。社会人になってからギターの魅力に出合い、国際新堀芸術学院で学びギター講師に。最終的には同校を運営する新堀ギターアカデミー社長を務めた。さらには、心身を癒す音楽の力を見出し、医療やケアにも生かすべく日本音楽医療福祉協会を立ち上げたという。
「ウクレレをみんなで演奏するときは、自然とほかの人の音をよく聴いて、合わせて弾こうとします。これはまさにコミュニケーション。言葉を使わなくても心の交流が生まれるのです」
楽器を演奏しているときは、脳が活性化し達成感や自己肯定感が増すことが多くの研究でわかっている。
さらに心のコミュニケーションが生まれることに気づいたのは、落合さんがフリースクールで不登校の子供たちにウクレレを教えている経験から。学校へ行かず、ウクレレ教室には来る彼らは、黙々と、しかし居心地よさそうにウクレレを弾くという。
「僕も社会人になったばかりの頃、同じような悩みを抱えていました。僕が出合ったのはギターでしたが、弾いていると、ギターと会話しているようで孤独が癒された。他人に理解してもらえないモヤモヤが整理されて、ほっと安心できる感じでした」
高齢者、特に認知症がある人は言葉がうまく出せず伝えることが苦手になる。そのことはなかなか理解されないため、不登校の子供たち同様、孤独になりがちだ。
そんな発想から、高齢者向けをはじめとするウクレレ教室を開催したり、病院や高齢者施設の職員向けにも講座を開いたりしているという。