本誌・週刊ポスト前号(2020年8月14・21日号)で報じた『「落選運動2020」を始めよう』の特集記事が反響を呼んでいる。
〈無策でコロナ禍を拡大させた議員〉〈緊急事態の中で私腹を肥やした議員〉など、政治評論家やジャーナリストの指摘をもとに与野党合計38人の議員の実名を挙げ、国民が「落選運動」を起こすことが安倍首相を退陣させ、日本の政治を新しい時代に進める有効な手段だと問題提起した。
前回総選挙の際、「落選運動を支援する会」を立ちあげた上脇博之・神戸学院大学法学部教授が語る。
「落選運動は個人でやるなら公選法の制限がないから何でもできます。SNSで呼びかけるのが一番手っ取り早い。落選運動という言葉に抵抗がある人は、『落選させましょう』とは言わずに、議員の過去の問題行動を指摘するだけでも効果はある。そこから不特定多数に共感してもらえば、次の選挙で『この議員は当選させたくない』と呼びかけるなどステップアップしていけばいい」
落選運動の賛同者が全国的に広がったとしても、落選させたい議員が自分の選挙区とは限らない。そういうミスマッチを解消するために、SNSなどに「落選候補交換所」を開設し、落としたい議員の選挙区の落選運動参加者と投票を交換する方法がある。「ボート・スワッピング(投票交換)」と呼ばれる。
ただし、落選運動にもいくつか注意点がある。まず特定候補への事実無根の誹謗中傷はやってはいけない(刑法違反)。「○○候補を落選させるために、××候補に投票しよう」と特定議員への投票を呼びかけるのは選挙運動と見なされ、公選法の対象になる。SNSでの運動は自由度が高いが、メールやHP、ブログを利用する場合、選挙期間中(公示から投票日まで)は公選法のネット選挙運動のルールが適用されることになる。