選挙前に“政変”も
コロナの感染再拡大で山口那津男・公明党代表は「現職議員も地元に入れていない。有権者との対話がないところで選挙はなかなかやれない」と早期解散に否定的な発言をするなど、解散時期は流動的になってきた。
そのことで、逆に落選運動の“威力”が増しているといっていい。政治ジャーナリスト・藤本順一氏は、自民党内では“安倍離れ”が進んでいると指摘する。
「安倍首相はいまや神輿に乗せられているだけの存在。この政権はもうほぼ“死に体”と見られている。ご本人も政権の店仕舞いを考えているのではないか。だからコロナ対応でもリーダーシップを発揮できない。
政権の内側では、麻生副総理と二階俊博・幹事長の権力がぶつかり、一度は失脚状態とみられていた菅義偉・官房長官の後継首相説が再び浮上している。安倍総理の出身派閥の細田派は西村康稔、稲田朋美、下村博文の3人が総裁選出馬を目指して分裂状態になっており、安倍さんは自分の派閥もまとめきれなくなっている」
自民党内では“安倍首相抜き”でポスト安倍の権力闘争が始まった。
そのタイミングで国民が激しい落選運動を展開し、総選挙になって大臣、副大臣をはじめ自民党議員が大量に落選する状況が見えてくればどうなるか。自民党議員たちは生き残るために選挙の顔を変えようと安倍首相を下ろしに走り、総選挙前の“政変”が発生する。
それこそが国民の手による安倍政権倒閣の「最短シナリオ」だ。
※週刊ポスト2020年8月28日号