King & Princeの永瀬廉(21才)が主演を務めた映画『弱虫ペダル』が反響を呼んでいる。コロナの感染拡大で多くの映画館が座席を制限するなど感染予防に努める中、観客動員数は8月14日の公開から3日間で19万人を超え、興行収入も約2億5000万円を記録。幸先の良いスタートを切った。見どころは何と言っても、パッツン前髪に丸メガネというスタイルで挑んだ永瀬廉だ。映画や演劇などに詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。
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累計発行部数2500万部を突破している大人気漫画『弱虫ペダル』(秋田書店)を実写映画化した本作。公開初日から話題を呼び、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』や『今日から俺は!!劇場版』、『糸』など話題作が並ぶ中、大健闘を見せている。SNSなどでは「原作からの脚色を含めて素晴らしい」「俳優陣の再現度が高い」「とにかく主人公たちを応援したくなる」などの言葉で溢れた。
本作は、いつも一人ぼっちなアニメオタクの主人公・小野田坂道が、ひょんなことから高校の自転車競技部に入部し、仲間たちとの交流の中でロードレースを通じて自身の才能を知り成長していく姿を描いた青春物語。まず感じるのが、主人公を演じた永瀬廉をはじめ、同級生役の伊藤健太郎(23才)と坂東龍汰(23才)、自転車競技部部長役の竜星涼(27才)らのレースシーンがやたら多いこと。全編通して常に誰かが自転車を走らせていると言っても過言ではないほどで、細かな人間模様などもそうしたシーンを通して進んでいく。スポーツを作品のメインに据えた作品は数多くあるが、本作ほど俳優たちが終始スポーツに打ち込む姿を捉えたものは珍しいのではないだろうか。
また、口コミにも多く見られた「原作再現度の高さ」もこの作品のカギの一つだ。68巻もある漫画をどう2時間の枠に収めるかに注目が集まっていたが、「違和感なく最後まで引き込まれた」「脚色されたシーンも原作の世界観をしっかり出せていた」といった声が多く見られ、原作ファンも納得の仕上がりとなっていたと思う。さらに、そう思わせる演じ手の再現度も当然高かった。各キャラクターに俳優の見た目を寄せていくのはもちろんのこと、CGや合成は一切使われていない、訓練を重ねた俳優たちの全力で挑んだレースシーンは素晴らしい。そうした役者による体当たりの演技があるからこそ、苦しさや楽しさを共有し“一つになる”彼らの感情がダイレクトに伝わってくるのだろう。