しかし、スポンサー企業にとっては追加費用拠出のメリットは縮小しています。新型コロナにより積極的な宣伝活動が難しく、五輪自体が簡素化されるため、本来の宣伝効果が見込めない可能性が高い。しかも、結局五輪が中止となれば、拠出した費用は戻ってきません。そのような状況で追加拠出を行なえば、株主の利益を損なう結果になりかねず、拠出を決定した取締役が善管注意義務違反に問われる可能性すらあります。
次期政権には、世界や日本国内の感染状況、ワクチンの開発・供給の見通し、追加費用やボランティアの確保の現状等から、本当に来年夏開催できるのかを総合的に検討してもらいたい。その結果、開催困難と判断されるのであれば、IOCと協議して中止を決定するべきです。出場予定の選手達には大変気の毒ですが、決断を長引かせることは、選手にとってかえってつらいことだと思います。
中止の判断を下した場合、選手のためにも中止で終わらせず、2024年のパリ・東京共同開催を検討してもよいかもしれません。フランスも新型コロナのダメージを受けており、競技場などの建設も大幅に遅れる可能性がありますが、東京はすでに施設が揃っている。2都市で共催できれば、国際協調の姿勢を世界に示すことができます。来年7月開催を早めに断念すれば、東京・パリ共催などの新たな可能性を模索し始められます。