新型コロナは「高齢者」「基礎疾患のある人」が重症化しやすいことはよく知られているが、それ以外にも重大なリスクファクターがあるという研究結果が報告された。なんと「血液型」が新型コロナと関連するという。研究結果はどこまで信用できるのか──感染症の専門家に聞いた。
血液型とコロナの関係を調べた論文は、欧州の研究グループが、米・マサチューセッツ内科外科学会発行の医学誌『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)』に発表した。
同論文では、多くの感染者を出したイタリア・スペインの7つの医療機関で確認された重症患者1610人の遺伝子と、非感染者2205人の遺伝子を比較した。その結果、A型の人は平均値よりも45%呼吸器不全を発症しやすく、逆にO型の人は35%発症しにくかったという(B型、AB型については有意な結果が得られなかった)。
日本人はA型が最も多く、全人口の約4割を占める。感染したタレントの石田純一氏、野球解説者の梨田昌孝氏もA型だ。論文が事実なら、心配になる人は多いだろう。
関西福祉大学教授(渡航医学)で、外務省医務官としてSARS流行下の中国・北京で勤務した経験を持つ勝田吉彰氏が指摘する。
「論文のように感染後に呼吸器不全を発症すれば、ICUでの治療や人工呼吸器を用いる必要が生じます。ところが、重症化リスクという意味では、血液型の要因よりも、やはり高血圧や糖尿病などの基礎疾患保有者のほうが高い。
論文が掲載された『NEJM』誌は、査読が厳しく信頼性の高い医学誌として知られており、確かな研究ではありますが、ただちにA型の人が悲観したり、O型の人が楽観視したりするべきではないと考えます。研究結果を頭に入れたうえで、どの血液型の人も引き続き注意を続けることが重要です」