新型コロナのワクチン開発が進み、世界中で期待が高まっている。日本では、政府が複数の医薬品メーカーと全国民分の供給量を受けることで合意済みだ。ただ、実際に供給が始まっても、一度にすべてが用意できるとは限らない。そこで、ワクチン接種の優先順位について、ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也氏が考察する。
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新型コロナはなかなか終息のめどが立たない。重症化して死亡する人の数が増えるなど、多くの国で感染拡大が進んでいる。アメリカ、インド、ブラジルをはじめ、ロシアや南米諸国でも感染者数が増加している。ヨーロッパでは感染再拡大により、再び外出制限などの措置がとられている。
感染拡大や重症化を防止するためには、ワクチンの投与がカギとなる。春先から世界中の医薬品メーカーでワクチンの開発が進み、多くのワクチン候補が臨床試験の段階に入っている。いずれ、有効性と安全性が確認されたワクチンが承認されて、予防策として用いられるものとみられる。
日本では、全国民分に相当する2億4000万回分超の供給を受けられるよう、政府が医薬品メーカーと合意しており、流通や接種体制などの整備が進められている。ただ、実際に供給が始まっても、いきなり全員分が用意できるとは限らない。そこで、どういう順番でワクチン接種を行うかという「優先順位」の問題が出てくる。
新型コロナウイルス感染症対策分科会は、この問題について議論を進めてきた。その内容を受けて、政府は9月25日に中間とりまとめの報告書を公表している。まず、その内容をみてみよう。