また、「ダウンの弱点だった洗濯ができるようになりました」と明記されています。水洗いできる機能性に喜んでいる人は多いと思いますが、もともとダウンは水洗いできるアウターなのです。
ダウンというのは鳥の羽毛です。とくに水鳥の羽毛やガチョウの羽毛が使われますが、水鳥もガチョウも池や湖で生活し、水面に浮かんだり潜ったりしています。必然的に体表にある羽毛は水に強いのです。水に弱い物質に覆われているはずがありません。
ですから、ダウンジャケットは通常、水洗いできるのです。水洗いできないダウンジャケットは中に詰められている羽毛の問題ではなく、覆っている外側の素材に問題があります。基本的にポリエステルやナイロンなどは水に強いですから、通常のダウンジャケットは水洗いできます。しかし、ウールやレザーのダウンジャケットは水洗いすると縮んだり変色したりする可能性が高いので避けたほうが良いのです。
「ワークマン女子」の課題は品揃え
このように、作業服で培った機能性を武器に一般ユーザーも幅広く取り込んでいるワークマンですが、アウトドア・カジュアルウェア業態の「ワークマンプラス」は、メディアへの過剰露出も相まって、かつてのような衝撃度は若干薄れてきた感があります。
そこで、今年10月16日、女性ターゲットの新型店舗「ワークマン女子」を横浜(神奈川県)にオープンさせました。
一般ユーザー向けの衣料品で売上高を拡大しようとすれば、レディース客を取り込む必要があります。ユニクロも20年前は男性購買比率のほうが高かったのですが、レディース比率を高めたことで今の成長があります。ですから女性向けというのはビジネスの理には適っています。
ですが、ワークマン女子の品揃えについてはいささか疑問です。同社によると、当初は女性向け製品数が足りないので、当面女性売上は全体の3割を目指し、ゆくゆくは〈女性4割、ユニセックス2割、男性4割〉にする方針だといいます。現状目標がレディース3割で中長期目標がレディース4割です。これが果たして「女性向け」でしょうか? ユニセックスも含めると男性比率のほうが高いのです。
ここから導き出される結論は、ワークマンがこれまでやってきた従来型店舗とワークマンプラスで同じ製品を置く(陳列する比率は変わるが)という政策は「レディース店」推進では破綻をきたしているということです。レディースの売上高を伸ばしたいなら、レディース専用商品の開発料を格段に増やさねばなりません。
もともと作業服というのは、どうしても男性比率が高くなります。そのため、ワークマン社内には男性向け企画に長けた人は多くいるでしょうが、女性向け、しかも一般女性ユーザー向けの企画ともなると、社内にノウハウも蓄積されていません。この部分は決して付け焼刃で対応できるほど簡単ではないでしょう。