マグネシウムと糖尿病の相関

 別図は、2018年に40名の糖尿病患者を対象に行われた研究結果を示したものです。その研究では、対象者を2つのグループに分け、一方には250mgのマグネシウムを、もう一方にはプラセボ(偽薬)を毎日、服用してもらい3カ月にわたって経過観察しました。

 すると、マグネシウムを服用したグループは服用前よりも、HbA1cの値が0.36減少し、HOMA-IR(インスリン抵抗性を表す数値)は28%も減少したのです。HbA1cは過去2~3カ月の血糖値の推移を示す指標ですので、HbA1cとHOMA指数が下がったということは、糖尿病にかかりにくい体質に変わったと言えます。

 糖尿病は合併症が怖い病気で、進行すれば腎機能障害、網膜障害、神経障害が起き、仕事どころではなくなります。また、糖尿病の患者さんは、血管系疾患はもちろんのこと、認知症やがんにもかかりやすくなることがわかっています。

亜鉛が免疫機能を高めるとの研究報告

 亜鉛は、数百種類にも及ぶ酵素の中心で働いており、それら酵素に関与してさまざまな代謝を行います。タンパク質や乳酸、アルコールの代謝もその一例です。なかでも重要な働きに、体を酸化から守る錆止めの働きや有害金属を体外へ排泄する働きがあります。

 亜鉛の働きでまず紹介したいのは、やはり免疫機能の維持です。2016年に発表されたアメリカの研究論文では、亜鉛が免疫機能を高めることが示されました。その研究は、65歳以上で血中亜鉛濃度が低い人たちを2つのグループに分け、3カ月間毎日、一方には30mgの亜鉛を、もう一方にはプラセボを服用してもらうというものです。

 すると、亜鉛を服用したグループでは血中亜鉛濃度が上昇すると同時に、免疫力を司るリンパ球の一種である「T細胞」を増やす効果が見られたのです。

 免疫機能改善のほかにも、亜鉛は多岐にわたる働きをします。たとえば、骨の形成、糖代謝やインスリンの合成・維持、肝臓での重要なタンパク質の合成、皮膚細胞の正常化、味蕾細胞(味を感じ取る細胞)の形態維持、性ホルモンの分泌維持、下垂体機能の維持など、健康を守るためには亜鉛が欠かすことのできない栄養素であることがわかります。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン