すでにこの事件に関わったとして、少年ら3人が逮捕されている。いずれもSNSを通じて集められ「指示役」の言う通りに強盗を実行していた。少年3人は標的の職業、そして脱税の過去があったことも知っていた。全て指示役から持たされた情報であるとみられる。捜査関係者が言う。
「最初は、相次いでいる点検強盗かと思いましたが、どうも違う。被害者のヤサ(住所)、被害者が金を持っていることのどちらをも知る、それなりに近しい第三者が指示役が主犯、もしくはそういった人間が指示役に情報を提供しているのでしょう。被害者も罪を犯しているのだから、タタキ(強盗)にあっても、警察には言わないはずという魂胆です」(捜査関係者)
逮捕された3人が今回被害者から強奪した600万円は、もちろん脱税によって蓄えられた金ではない。強盗はなかったことにされるはずと考えた指示役が「見誤った」という他ない事件の顛末だ。このように、被害者がすすんで「無かったこと」にするはずだから、強盗しても大丈夫だと考えて実行したのに露見して逮捕される事件は、過去にも発生している、というのは大手紙社会部記者。
「かつて数百億円を出資者から騙し取り逮捕された、元大物詐欺師の男が住む都内の家に、九州方面から上京してきた若い男女が強盗に押し入りました。被害者男性は詐欺で逮捕され数年間を刑務所で過ごしたあと、出所後も中国人を相手にした詐欺ビジネスで荒稼ぎをしている、と言われていたのです」(大手紙記者)
ちなみに、強盗が入ったこの男の家、東京は下町の繁華街に佇む雑居ビルだった。ボロではないが新しいわけでもなく、資産ウン百億の男の居宅とは思えない外観で、彼はそこで暮らしていることを極力、人に知られないようにしていた。
「強盗団は男の属性も知っており、数百億の金があるだろうと脅したが、結局十万円ちょっとが入った財布しかなく、仕方なくそれだけを奪って逃げたんです。犯人はすぐに逮捕され、背後に指示役がいることはわかりましたが、男が隠しているはずの住所まで知っていたところを見ると、近しい関係者の可能性も高いです」(大手紙記者)
目黒区の高級タワマンで強盗を働いた犯人グループの「指示役」も、元大物詐欺師が住む雑居ビルへ押し入ったグループも、同じように、やましい手段で蓄財しているから奪っても被害者が露見させないはずだと頭に描いていたに違いない。犯罪プランについては似ている2グループだが、実は決定的に異なる部分がある。