今年でデビュー30周年を迎えるヴァイオリニスト・葉加瀬太郎。彼はなぜ、お茶の間で愛され続けているのだろうか。その軌跡を追った。
幼少期よりヴァイオリンを習い始め、中学時代にはコンクールで優秀な成績を修めていた葉加瀬。大学は名門・東京芸術大学音楽学部の器楽学科ヴァイオリン専攻へと進学した。
大学在学中より音楽活動に注力し、ニューエイジ系のバンド・クライズラー&カンパニーの一員として1990年にメジャー・デビュー。その後、1997年にはソロ・デビュー作『watashi』をリリースしている。プロデュースを手がけたのはアメリカのロックバンド・DNAやラウンジ・リザーズ(ジャズ)で知られる鬼才アート・リンゼイである。
世間一般で最もよく知られているのは、人物ドキュメンタリー『情熱大陸』(TBS系)のテーマ曲だろう。1999年1月10日の放送回から現在まで、勇壮で軽快なヴァイオリンの旋律が毎週のように流れてきた。葉加瀬のテーマ曲が採用された最初の放送回でゲスト出演していたのは、奇しくも当時一世を風靡していた音楽プロデューサー・小室哲哉だった。
葉加瀬は音楽家として第一線で活躍してきたと言っていいだろう。だが不思議なことに、ステレオタイプな芸術家のイメージで連想されるような小難しい雰囲気は纏っていない。むしろ『クイズプレゼンバラエティー Qさま!!』(テレビ朝日系)や『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送テレビ)といったバラエティ番組にも出演し、お茶の間に和やかなムードを届けてきている。
なぜ葉加瀬はテレビ視聴者からも長年、愛され続けているのだろうか。芸能事情に詳しいカメラマンでライターの名鹿祥史氏はこのように説明する。