「葉加瀬太郎さんは『情熱大陸』や『ひまわり』『Etupirka』といった代表曲を数多く持ち、セリーヌ・ディオンとの共演をはじめ、国内外での評価も高い一級のバイオリニストとして認知されています。

 しかし、音楽面での実績とは裏腹に、昔からテレビで見せるキャラクターは温和で人懐っこさのある優しいお兄ちゃんというイメージでした。変に大物ぶることもなく、小難しいことをいうイメージもない。ゆえに『ぴったんこカン★カン』(TBS系)や『Qさま!!』といったテレビ番組でも常に愛される存在でした」

 さらに近年ではYouTuberと積極的なコラボレーションを行っていることも葉加瀬の人気を後押ししていると名鹿氏は指摘する。

「最近では『釣りよかでしょう。』などの人気YouTubeチャンネルにもふらりとゲスト出演して、YouTuberらと気さくに楽しんでいる姿が話題となったりしています。日本人の多くはヴァイオリニストというと、崇高でプライドの高そうなイメージを抱きますが、そういった固定概念を打ち破って登場してきたのが葉加瀬太郎さんなのです。

 彼のような親しみやすさや、取っ付きやすさを持ち、メディアにも積極的に出演しようというヴァイオリニストは他にあまり思い当たりません。他に代わりがいないという点でも、テレビ番組やバラエティでは今後も活躍し続けるでしょうし、あの風貌とキャラクターからお茶の間で愛される存在であり続けると思います」(名鹿氏)

 デビュー30周年を迎えた今年、新たなアルバム『FRONTIERS』を9月に発表した葉加瀬太郎。リリース記念ツアーのファイナルとして、12月29日には東京国際フォーラムで公演を開催、WOWOWでも東京公演の模様が生中継で放送される。コロナ禍の年の瀬に、芸術家の固定概念を打ち破ってきた彼のヴァイオリンに耳を傾けてみてはいかがだろうか。

●取材・文/細田成嗣(HEW)

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