新型コロナウイルスに感染した場合、重症化リスクが高いのは持病を持つ人や高齢者だと言われている。彼らが感染しないように気を遣うのは正しいことであって、それに面と向かって反対できる人は少ないだろう。それにつけこんで、モンスタークレーマーに変貌している高齢者、シルバーモンスターが出現している。ライターの宮添優氏が、シルバーモンスターによって不自由を強いられている人たちの不満と不安についてレポートする。
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埼玉県某市の街角にある、市営公園。今年9月ごろまで、たくさんの子供達や近隣住人で賑わっていた。といっても、このコロナ禍である。マスクをして、それなりの距離を保ちながら、なかなか自宅から出られない鬱憤を、今すべき方法をとりつつ吐き出していたのである。そんな公園から子供達の元気な声が消えたのは、10月に入ってからのこと。近くに住む地域の子供会関係者が声を潜める。
「コロナが再拡大して、今回は子供にも感染した、というニュースがあったでしょう? 老人会の方が、公園で子供遊ばせるな、老人がどうなってもいいのかとすごい剣幕でやってくるんです」(子供会関係者)
思い返してみれば、4月ごろにも、全国各地で似たようなことが起きていた。こんな時期なのに子供が外で遊んでいると警察に通報する人、近くに保育園や幼稚園、小学校があって、子供達から感染拡大するのではないかと学校や役所にクレームを入れる近隣住人。そんな人々の大半は中高年と呼ばれる層でもあった。夏から秋にかけ、コロナ感染者も減り、そういった騒ぎもなりを潜めていたが、再びの感染拡大とともに馬脚を現し始めた、ということか。
「以前より圧力はすごいです。昼間の公園に子供達がいったところ、高齢者の方数人で張り紙をされていて、そのまま追い返されたと泣きながら帰ってきたんです」(子供会関係者)
張り紙には「子供がウイルスを拡散させている」といった旨の主張が書かれており、20才以下の子供の使用禁止、と書かれていた。高齢者のうちの一人は、子供達に向かって「今度公園に来たらお父さんとお母さんに言いつける」とまで言ってのけたという。子供の親は、高齢者のあまりの傍若無人ぶりに腹が立ち、涙を見せながら抗議したというが……。
「その公園、以前は子供達が野球やサッカーをしていたのですが、コロナになって以降、全てのボール遊びが禁止になりました。市に問い合わせても、地域住民からの要望があった、としか答えてくれない。なのに、お年寄りのゲートボールはOKなんです。理由は『危なくないから』。公園は老人に乗っ取られたのです」(子供会関係者)
コロナをきっかけに子供達の居場所がなくなった、という例は他にもある。