当然、こういった迷惑行為に及ぶ高齢者はごく一部、人数あたりの割合で言えば、まだ体力にも余裕のある中年や若年層の方に「迷惑な人」は多いのかもしれない。だが、若年層の迷惑行為は大声で非難しても誰も咎めない。しかし、老人は敬うべきという空気があるから、反論しづらいのが事実。そのため、あえて見過ごしたり、情けを見せればつけ込まれ、軒を貸したつもりが母屋まで取られる、といった事態にまで発展する。

 いや、そもそも、公園も公民館などの公的施設は、広くみんなの物に違いないはずだ。それなのに眼前のものなら何でも卑しく自分の方へ引っ張ろうという姿は、マスクやトイレットペーパーを我先にと買い占めた人々たちと同様だ。助け合って皆で乗り越えるべき難局なのに、分断を深めるようなことをしたり、それを見過ごしてもよいのだろうか。

 皆で協力し合って、コロナ禍を乗り越えよう、という声が、半年前より小さくなっているように思うのは筆者だけではないはずだ。ここで触れた高齢者に限らず、他人の行為ばかりをあげつらい、自身を棚上げする。問題が起きるとまず「おまえのせいで感染したらどうする、責任を取れ」と迫る。どうしようもないコロナ禍のつらさを、どうにか第三者のせいにして溜飲を下げようとしているようにも見える。

 コロナウイルスの感染拡大は、1波2波ときて、今は第3波と言われている。その度に、人間の嫌な部分がこれでもかというほどに抉り出される。コロナのストレスより、そうして現実を目の当たりにすることの方が辛い……そんな人も少なくないのではないだろうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
大村崑氏
九州場所を連日観戦の93歳・大村崑さん「溜席のSNS注目度」「女性客の多さ」に驚きを告白 盛り上がる館内の“若貴ブーム”の頃との違いを分析
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
佐々木朗希のメジャー挑戦を球界OBはどう見るか(時事通信フォト)
《これでいいのか?》佐々木朗希のメジャー挑戦「モヤモヤが残る」「いないほうがチームにプラス」「腰掛けの見本」…球界OBたちの手厳しい本音
週刊ポスト
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン